「承認欲求を否定する?」——『嫌われる勇気』で見つけた自由の条件

コミュニケーション

承認欲求を否定する?
そう聞いて、違和感を覚える方は多いかもしれません。
他者から認められたいという思いは、人間として自然な感情のようにも思えます。しかし、全世界で1,000万部を突破した大ベストセラー『嫌われる勇気』は、その常識に真正面から異を唱えます。

今回紹介するのは、アドラー心理学を学べる名著『嫌われる勇気』です。
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日常の中で、「なぜあの人はあんな態度を取るのか」「どうしてこんなに気を使ってしまうのか」と、ふとした違和感を覚えることがありました。
その答えを探したくて手に取ったのが、岸見一郎氏古賀史健氏によるこの一冊です。

アドラー心理学を哲人と青年の対話形式で読み解いていく本書は、自己啓発の枠を超え、読者の価値観を根本から揺さぶります。

本記事では、この本を通して僕が得た気づきや、特に印象に残った概念についてご紹介します。

哲人の口から次々と投下される思考の劇薬に、あなたと青年は耐えられるか?

なぜ今『嫌われる勇気』なのか?

僕は、人間関係に特別な悩みを抱えていたわけではありません。むしろ、他人との距離感を取るのは得意なほうでした。
それでも僕が『嫌われる勇気』を手に取ったのは、「なぜ人は他人を攻撃するのか」「どうして摩擦が起きるのか」といった、人間関係に潜む違和感に関心があったからです。

日常の中でふと感じる、説明のつかないモヤモヤ。
誰もが一度は味わったことのあるその感覚に、ヒントを与えてくれたのがこの一冊でした。

なぜ人は他人に突っかかるのか?——アドラー心理学の“目的論”から読み解く

『嫌われる勇気』の中で、青年はこう語ります。
「レストランでウエイターにコーヒーをかけられたら、誰だって怒るに決まっている」と。
これに対して哲人は、驚くような言葉で返します。
「怒りに駆られて大声を出したのではない。大声を出すために怒ったのだ」と。

もちろん青年は反論します。「そんなことを考える余裕は一秒たりともなかった!怒りとは突発的な感情です」

反論の代わりに哲人はこんなエピソードを語ります。「ある母と娘が大声で言い争いをしていた。
そこへ電話が鳴り、母は怒りを含んだ声で「もしもし?」と出た。
ところが相手が娘の担任教師だとわかると、声色は一変し、丁寧な口調に。
5分後、受話器を置いた母は、再び娘に怒鳴り始めた——。

哲人はさらにこう言いました。「怒りとは、出し入れ可能な道具である。」と。人は原因によって怒っているのではなく、“怒りという感情を使って何かを達成しようとしている”——つまり、怒りには目的があるというのがアドラー心理学の基本的な考え方です。これを「目的論」と呼びます。

この考え方に触れたとき、僕は天地がひっくり返るような衝撃を受けました。

「人は怒りをコントロールできないのではなく、目的のために怒っている」
そう捉えることで、怒りという感情がまったく別のものに見えてきたのです。

僕自身、比較的怒りの感情をコントロールできる方だと思っていました。
でもこの目的論を知ったことで、怒りをより冷静に、客観的に見る“脳の回路”がひとつ増えたような感覚になりました。

たとえば、赤面症の少女のエピソード。
人前で話すと顔が赤くなってしまうという悩みを抱えていた彼女に対し、哲人はこう言います。
「赤面するから話せないのではない。話さないために赤面しているのだ」


この視点は、僕たちが無意識に選び取っている行動の“裏にある目的”を鋭く突きつけてきます。

そして思い返したのが、僕の妻のことでした。
感情を爆発させるように怒ることがあり、以前の私はその都度戸惑っていました。
しかし、目的論の視点で見たとき、妻の怒りは「僕(夫)をコントロールし、自分にとって快適な空間をつくるための手段」として現れているのかもしれない、と気づいたのです。

怒りの裏には意図がある。
この前提を持つことで、相手の行動の受け取り方が大きく変わりました。
目的論は、人との摩擦を“理解”に変えるための強力なレンズになると感じています。

「目的論」という考え方はまさに目からウロコでした。→ 『嫌われる勇気』(https://amzn.to/3SKMMI4) に詳しく書かれています。

“課題の分離”が教えてくれた、他人との正しい距離感

『嫌われる勇気』は、アドラー心理学という100年以上前の思想を、現代の私たちが実生活に落とし込めるように語ってくれる一冊です。
対話形式で語られる哲人と青年のやりとりは、まるで自分自身が問われているような錯覚を覚えます。

> 「他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを怖れず、承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり、自分の生き方を貫くことはできない。つまり、自由になれないのです。」

中でも、衝撃的だったのが「承認欲求の否定」というアドラーの考え方です。
私たちは日常の中で、知らず知らずのうちに“誰かに認められたい”“嫌われたくない”という欲求に支配されています。
しかし哲人は、それこそが不自由の根源だと言い切ります。
「他者からの承認を求めることをやめよ。あなたがどう生きるかは、あなたが決めることだ」と。

『嫌われる勇気』の中で繰り返し登場するのが、“課題の分離”という考え方です。
哲人は言います。「これは誰の課題か?」を見極めることが、自由な人間関係を築く第一歩だと。

たとえば、他人が自分をどう思うか。それは自分の課題ではなく、「他人の課題」です。
どれだけ誠実に接しても、相手が怒るか、認めてくれるかは相手の自由。
そこにまで踏み込もうとするから、不要なストレスが生まれる——この考え方は、僕にとって目から鱗でした。

ただ実は、僕自身もともと「自分は自分、人は人」という価値観を持っていた方でした。
だからこそ、課題の分離の考え方にはすんなり納得できたし、「ようやく名前がついた!」というような感覚さえ覚えました。

でも、この本を読んで初めて、「なぜ他人の領域に踏み込むと関係がこじれるのか」「なぜ自分の問題まで抱え込むと苦しくなるのか」が、理屈として腑に落ちたのです。
“他者の課題に土足で踏み込まない”という哲人の言葉は、シンプルだけれど深い真理だと思います。

とはいえ、すべての人間関係に課題の分離をそのまま適用できるかというと、正直、そうではありません。
特に家族関係では要注意です。

僕は調子に乗って、妻との日常会話の中でも「それは君の課題だよ」とか「今、僕の課題に踏み込もうとしてるよね?」などと言ってしまい、
「課題ってなに?うるさいんだけど」とピシャリと怒られてしまいました……。
反省です。

課題の分離は、たしかに人間関係を軽くするための強力なツールです。
でも、それを振りかざすのではなく、静かに自分の中で持っておくことこそが、本当の意味で“正しい距離感”をつくるコツなのかもしれません。

自由とは、“嫌われる勇気”を持つこと


『嫌われる勇気』というタイトルには、読む前から少し構えてしまうようなインパクトがあります。
「本当に嫌われてもいいのか?」「そんな強さ、持てるわけがない」と感じる人も多いはずです。

僕も最初は、この言葉を極端な生き方の象徴のように捉えていました。
でも読み進めるうちに、これは“嫌われろ”というメッセージではなく、「他人の評価を基準に生きることから自由になろう」という、もっと深くて温かい思想であることに気づかされました。

これは、僕にとって大きな価値観の転換でした。
“誰かに認められて初めて価値がある”と思っていたら、永遠に他人の顔色をうかがい続けることになります。
でも、「承認されなくてもいい」「評価されなくても、自分で自分を決めていい」と思えた瞬間、心の重さがふっと軽くなったのです。

とはいえ、僕たちが生きているのは、職場や家庭など複雑な人間関係が絡み合う社会です。
本書に書かれているような強さを、すぐにそのまま実践するのは簡単なことではありません。

それでも、この本の知識や考え方を心のどこかに持っているだけで、「少しだけ自分らしくいられる瞬間」が増える気がします。
それは、自信となり、小さな幸せとなり、やがて僕やあなたの人生を少しずつ動かしていくのではないでしょうか。

まとめ

ここで紹介したのは、本書の中のほんの一部にすぎません。
実際には、もっと多くの刺激的な問いや、生き方そのものを揺さぶる言葉が詰まっています。

僕が特に震えたのは、哲人のこんな一言でした。

「他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを怖れず、承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり、自分の生き方を貫くことはできない。」

この言葉に、本書の核心が凝縮されていると僕は感じています。
アドラー心理学の主張は、ときに極端に映るかもしれません。
でもそのロジックには、一貫した論理があり、僕にとっては驚くほど納得できるものでした。

すべてを今すぐ実践できなくても、この本を通して得た視点が、自分の行動や人との向き合い方に確かな変化をもたらしている。
そんな実感が、静かに、しかし確かに残っています。

「嫌われる勇気」こんな人におすすめ

他人の目が気になって、言いたいことが言えない人

職場や家庭での人間関係にストレスを感じている人

・怒りやイライラの正体を、冷静に捉えたい人

・「自分らしく生きたい」と思いながらも、どこか他人に合わせてしまう人

・人間関係に大きな悩みはないけれど、「なぜ?」と感じることがある人

・哲学や心理学に興味はあるけれど、難しい本は苦手という人

最後にひとこと

『嫌われる勇気』は、読むことでいきなり人生が劇的に変わるような本ではありません。
けれど、人との関わり方や自分の在り方を静かに見直す視点を、確実に与えてくれます。

人間関係に疲れて、ふと立ち止まるとき。
この本を手に取ると、「他者に合わせすぎる必要はない」「自分らしくいていいんだ」と、そっと背中を押してもらえる気がします。

僕は何度も読み返しましたし、大切な人にも贈りたいと思える一冊です。
哲人の問いに、あなたならどう答えますか?

「嫌われる勇気」はこんな人におすすめです

自分に自信が持てない

人間関係に悩んでいる

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